ぼくみたいな子どもがくると思ってなかったから、おどろいた? だから思わずドアを開けちゃった? そう… ふうん、いいんじゃないのかな。そういう言い訳でも。 でも、ほんとはね、ぼくくらいの年齢、見た目をリクエストするヒトも多いんだよ。まだ、男か女かも分からない子ども。ソプラノボイスとすべすべした手足の少年。そういうのが好き、そういうのがイイ、ってリクエストは、多いってわけじゃないけど、けっこう数はあるもんなんだよ。だから、ぼくがいるわけ。 安心した? それとも、がっかりした? どっちでもいいよ。でも、今の顔、すっごくヨかった。 今日はあなたに呼ばれて、ぼく、すっごく幸運だったみたいだ。 大丈夫。ちゃんと、全部は契約どおり。今晩のことは、あなたが望めば記憶ごときれいに廃棄されるよ。ぼくのメモリは基本的には外部ストレージだから。ほら… ここ。触ってみて。わかるでしょう? もしもあなたがぼくがお気に召したんだったら、このヘッドセットを置いていく。あなたはこれを大事に保存して、ぼくを呼ぶたびに、これをセットすればいい。そのたびにぼくは、あなただけのぼくになる。あなたのことしか知らない、あなただけを愛しているぼくに。 もしも、このぼくが気に入らなかったり、こんな子どもを玩ぶってことの罪悪感が、快感よりも大きくなっちゃったら? そうしたら、メモリーチップを廃棄すればいいんだよ。燃やすか、粉々になるまで粉砕するか、酸をかけるか… でも、どっちにしろ、念入りにやったほうがいいのは間違いないよね。 ぼくって、あんがい、執念深いから。 一度、【スキ】になったヒトのことは、粉々に記憶を粉砕されるまで、忘れることなんてできない。 ねえ… あなたって、長話が好きなの? こんな雨の降ってる夜なのに、こんな場所でさんざん立ち話させるなんてさ。でも、まあいいや。そういうヒトも嫌いじゃないよ。だから一個だけ、おもしろいこと教えてあげる。 執念深いって言ったでしょ? メモリの取り外しが簡単な、ぼくみたいな”エージェント”が。 それっておかしいと思わなかった? そんなの、ビデオデッキからビデオを抜いた後で、デッキが映画を恋しがるみたいなものじゃない。そんなのありえない、おかしい、って思うほうが普通だよね。 だから、これは上のヒトにも秘密なんだ。バレたらバラバラに分解されちゃいかねない。そんなのごめんだもの。 ぼくはね――― メモリだけじゃなくって、この”カラダ”でも、記憶ができるみたいなんだ。 あなたがキスをしてくれたら、このくちびるが、それをおぼえている。 抱きしめてくれたら、この肩が、背中が。 ソレよりも先も、たぶん… 全部、ね。 あはは、おどろいた? いいよ、それ以上は聞かない。もしかしたらぼくはあなたと会ったことがあるかもしれないし、ないかもしれない。今日は白紙のストレージを入れてきたから、ぼくは、なあんにも憶えてない。そのはずだ。そういうことにしといたほうが平和みたいだね。 ね、これ以上はさすがにひどいよ。 中に入れて、ぼくをだっこして。たくさん歌わせてよ。 ああ、それよりも先にさ…… 長話をさせたお詫びに、キス、してくれませんか。 …ねえ、【マスター】? 【マセ恋歌】:http://www.nicovideo.jp/watch/sm3151139 実はボカロ全体で見て、一番ツボる声はレンだったりする!! 曲調で言うと姉さんがカッコいい曲が多くて好きで、調教だと兄さんの曲が好みなことが多いけれども、レン曲はそれとはぜんぜん別口でビリビリ来るようなのが多くて好きだ… と今気付いた(´・ω・`) しかしレン書くとマセガキっつーかヤンデレンというか、まともにならないのはどうしてだろう。リンとセットになってないのが問題なのか? ところで私の中でレン=れれれPだけど間違ってないよね? ←back |