再会






 それはとても遠い記憶
 百年、二百年前の

 



 いつだったのか、もうおれも忘れかけてるんだけど。
 《あの人》に、急に呼び止められたことがあったんだ。

「バッツ。話がある」
「……おれに?」

 あの頃の話だから怒らないで欲しいんだけど、おれは当時、あの人のことがあんまり得意じゃなかった。実は。ほんとは、今でもちょっぴりそうだけど。
 《Warrior of Light》……《光の戦士》。
 最初は、何のことかと思ったよ。そりゃ人の名前かよ、って。
 だからあの時も、おれは後ろからいきなり怒鳴られたハトみたいにびっくりして、あやうくそのまま逃げ腰になりかけた。びくびくしながら振り返ると、あれ、なんかいつもと調子が違うって、今度はぜんぜん違う方向で面食らう羽目になった。
 背が高くて、長い髪をしていて、静かで、でも厳しく引き締めたような表情をいつもしている。内側にあるものの圧力ではじけ飛んでしまいそうなのを、必死でこらえている、スコールやクラウドの静かさとはぜんぜん違う。まるで融けない雪か氷か、さもなければ、真冬の湖のような硬く揺るぎのないたたずまい。
 おれのあの人への印象ってのはそういうもんで、でも、その日はいつもとまったく違う顔がそこにあった。いつもみたいな無表情、無感情で、でも、どこか途方にくれたような目が高いところからおれを見下ろしていた。
「どうしたんだよ、リーダー? なんかおれに用?」
「ああ」
「ここじゃダメかな…… もしかして、おれ、すっげ怒られるとか?」
 おれがちょっと茶化して言うと、あの人は、「そうじゃない」と答えた。その調子がますますおれを困惑させた。これ、ホンモノだ。この人は、今、本当に《揺らいで》いるんだ。
「バッツ? どうかしたのかよ?」
「……バッツに何か用ですか」
 敏感に気付いたジタンと、さっきから目の端でちらちらおれを気にしていたスコール。どっちも耐えかねたみたいに声をかけてくる。過保護なやつら。大好きだ。おれはひらひらと手を振って、「違う、違う」と答えた。
「なんか二人っきりで話だって。付いてくんなよ!」
「どういう意味だよ。あのさ、バッツのアホがうつってもしらないよ? スコールなんてこんなになっちまってるんだぜ?」
「……どういう意味だ」
 軽い口調で言いながら、ジタンはどことなく張り詰めた様子でこちらに目線を流した。大丈夫か? おれは目だけで答えた。ん、大丈夫。変な話じゃないよ、たぶん。
「子どものお使いじゃないんだからさ、大丈夫だってば。じゃ、行こっか」
「バッツ……」
「スコォール、おれがいなくてもさみしいって泣くんじゃないぞ?」
 何か言いかけたのをむっとして口ごもって、眉の間にしわをよせる。どうやら口を挟み損ねる。かわいいやつ。不器用なスコール。おれは笑いながらあの人の手を掴んだ。青い甲冑の感触が冷たく硬い。
「すまない、二人とも」
「いいの、いいの。じゃあ行こっか、……ええと、Warrior of Light?」
 呼びにくい、相変わらず。
「ああ」
 そして、答える彼の声は、やっぱり、取り付くしまもなく、硬くて無感情なものだった。


 完全武装の戦士。例えるなら、古い勲詩《いさおし》に表れる半神の英雄。
 金でふちどられた甲冑は青く優雅で、おれが知っているような実用性な防具の、無骨な作りとはまるで無縁だ。たとえばフリオニールの使い込んだ鎧みたいな、傷やへこみだらけの金属板とは。
 飾りの朱房が長くなびき、エナメルを焼きこんだ面のなめらかさは殆ど芸術品のようだ。サーコートの白い裾にはほんの小さな鉤裂きも泥はねもない。それでいて、あの人の強さは飾り気のない確実なものなのだ。おれが知っている時代には形式的な舞踏にまで堕落してしまったものの、より、根源的なものであるかのように、なめらかに動き、確実にしとめる。
 高い襟にあふれる髪は、渦巻いて流れる銀色の霧みたいだ。色の薄い目は水晶の割れ目のよう。大理石を彫ったような典雅で気品あふれる、けれど、柔弱さや退廃などかけらすらもない面差し。厳しくて穢れなく、同時に、硬く冷たい。血の通った人間とはとても思えない。―――実際、そうなんじゃないか。おれはその時まで半ば、そんな疑いすら抱いていた。
 あの人が歩いていくと、足元で、かかとを濡らすことのない光の水面が音を立てて輪を描く。金属の触れ合う足音が響く。おれは、ちょっと遅れて後を追う。頭の中は混乱していて、ちょっとおびえてもいた。だから目の前の人の姿にだけ意識を集中させて、そのかっこよさ、きれいさに出来るだけ集中して、逃げ腰な自分を頭から追い出す。だから、あの人が急に立ち止まったとき、おれはやっぱり怒鳴られたハトみたいにびっくりして、飛び上がりそうになった。あの人がおれをみた。削った水晶のような、古代の宝冠につけられた石みたいな、そんな目が。
「―――バッツ」
「は、はい!」
「君は…… これを、知っているか?」
 あの人が、腰のバックに手を入れて、何かを取り出した。おれはあっけにとられておびえを忘れた。鋼の指が、おれに何かちいさなものを手渡してくれた。思わず両手で受け取る。ちいさな、茶色いもの。
「……はしばみの実?」
「はしばみ?」
「どうしたんだ、こんなもん?」
 思わず空にかざすと、硬くてつややかな殻が光を弾いた。たしかに、はしばみの実だ。でもおれはこの世界に来てから一回も、こんなものを見たことがなかった。どこで拾ったんだろう? 思わず目を丸くして見上げると、あの人は、薄い唇をひきむすんで、何かに耐えるような顔をしていた。
「その、えっと……ウォーリア」
「……バッツ、君は、旅人だと聞いた」
 おれはびっくりして、返事も忘れていた。唖然としてあの人の顔をみた。冷たく硬いはずの面差しを次々と何かがよぎっていた。苦いもの、甘いもの、あたたかなもの、痛いもの。無数の想い。古い棘。
「ならば、誰よりも見聞が広いはずだ。教えて欲しい。《それ》が何なのか」
「……えっと」
「私には、《それ》が何なのか、分からない……」
 おれは困って、手の中でころころとはしばみの実を転がした。分からないって。よっぽど世間知らずなお姫様か、遠くの生まれじゃあるまいし。はしばみの実を見たことも無いなんて。
「これは、ハシバミの実だよ。木の実で、殻を割って、挽いて食べるんだ。あんたが拾ったんじゃないのか?」
「割って、挽いて……」
「よく火を通してパンとかに混ぜると、香ばしくて美味いよ。塩で炒って酒とあわせるやつもいる。……懐かしいなあ。酒場とかによったとき、よくこいつで蒸留酒とか飲んだよ」
 そんなことをいいながら、でも、誰と飲んだのかは思い出せないな、とおれは思っていた。そんな重要なことじゃない。誰が相手だったにしろ、そいつがどれだけ大切な仲間だったか、心強い信頼と、心を許した友と憩う安らぎは覚えている。古くつややかになった木のカウンターの感じ、釉をかけた器の感じ、口の中であたためて香りを立たせる火酒の匂い。
 思い出してくるうちに、編み物の一番端っこで糸をつかまえたみたいに、ポロポロと記憶がほどけはじめる。どんどんと思い出していく。記憶。なつかしい感覚。気持ちではなく、手のひらや舌や、耳や鼻や髪で感じた、過去の感触。
「うん、だいぶ思い出してきたよ。秋になると、森の傍だとよく拾ってたなぁ。豚を太らせるあたりだと子どもが豚を森につれていくんだ。ぶちのやつとか黒いやつとか、ぶうぶう言いながら土をほじくりかえしてた」
「豚を? ……何故だ?」
「栃の実とか、楢の実とか、栗とか…… もちろんハシバミもだけど、そういうのをたくさん食わせて太らせた豚は、脂がよく乗って美味くなるんだ。締めるときにはちょっと可哀想だけど、塩漬けにして冬の祭りあたりにご馳走を食べる準備にする。ほんとに美味いんだぜ! 寒いとこだと蔵に野菜をためておくからさ、一緒に煮込んでシチューにするんだ。すっごくいい匂いがするんだ。ソーセージも作ったなー。地方によってぜんぜん味が違うんだぜ。でも、どこも美味かったよなぁ……」
 あの人は、なんだか、ぼうっとしたような目でこっちを見ていた。知ってる目だった。たまに、宿屋とかで子どもに、遠い土地の話をしてやると、こんな顔をするんだ。急に警戒心が薄れて、おれは、思わずちょっと笑ってしまった。
 近くを見回すとちょうどいい高さの石があった。「座ろう?」とおれが指差すと、あの人は大人しくついてきて、隣に座った。おれは思い出すままに話した。いろんな話を。糸がぽろぽろとほどけるままに思い出す話を。
「秋になると、こういうのが取れるあたりだと、森がきれいな金色になる。ぶどうはとっくに取り終って蔵の中で真っ赤な酒になってる。林檎も終わってるかな…… プラムのころだよ。霜が降りる直前に取りに行くんだ。そのころが一番甘くて汁が多いから」
「林檎、それに、プラム」
「うん! ぜいたくな金持ちや貴族なんかは、蜂蜜といっしょに煮込んでコンポートやジャムを作る。そうじゃなくても干しておいたり、あと、粉を混ぜて押して保存しておいたりするんだ。特に田舎だと甘いものが少ないからさ。クリームをかけてくっても美味い。でも、摘んだときそのまま食べちゃうのが一番かな。子どもや女の子や、あと、婆ちゃんなんかは、みーんな手が紫色になっちゃってるんだ。摘んだプラムをみんな食っちゃうから」
「……平和そうな、話だな」
「ん…… 秋は、一番の季節だよ。一年がちゃんと過ぎれば、どこの家も収穫でいっぱいになる。市場だって一年中でとれたもので溢れるくらいになる。おれなんかは、そうだな、稼ぎ時だよ。市場にいく人の荷物運びを手伝ったり、豚をつぶす手伝いをしたり、粉ひき小屋に泊まったり、どこに行っても絶対に困らないから」
「粉引き小屋?」
「水車小屋だったり、あと、水が無いところだと動物に臼を回させるんだ。ボコにやらせたこともあったなぁ、あとで《お前も手伝え》って目ですっごい恨めしそうに見られたり、だから機嫌直してもらうためにブラシかけたり洗ってやったりさんざんサービスしてさー。あれは困ったなぁー」
 話し出すと、止まらない。楽しかったこと、面白かったこと、困ったこと、嬉しかったこと。笑みが勝手にこぼれてくる。とめどなく思い出話を話していたおれに、あの人が、いつの間にか目を伏せていたということにふと気付く。おれは声を途切らせた。思わず、削った水晶の目を、覗き込む。
「あの……《Warrior of Light》?」
「……」
「おしゃべりすぎたか? おれ、なんか不味いこといった?」
 怒られることより、たしなめられることより、この硬質でためらいのない人に、こんな顔をさせているということ。
 その事実が、膨らみかけていたおれの気持ちに冷水をぶっかけた。なにか、不味いことを言っただろうか。この人を悲しませてしまった? おれが? この人を?
 あの人は口を引き結び、額に手を当てた。いやいやをするように首を振ると、あふれる霧の髪が肩からこぼれた。
「君のせいではない」
「ウォーリア……」
「君の…… 君は、とても生き生きと幸福そうに話すのだな、昔のことを」
 寝覚めの夢に、氷水をぶっかけられたような気がした。
 こちらを表情が哀しげにゆがんでいた。かすかに見えたもの、それは、たぶん羨望とか、嫉妬とかいうものだった。信じられないような気がした。まるで自分が、咲いている花を、無造作に踏んでしまったような気分だった。
「ウォーリア、あんたは、その」
「私は、知らない。何も」
「……」
「金色の秋も、実りの喜びも、収穫の幸福も、……はしばみの実のひとつぶも」
 首を横に振るたびに、うずまく霧のような豊かな銀髪が、青い甲冑から、あふれ、こぼれた。何故だかあの人は、ひどく傷ついているように見えた。おれのせいじゃない、ととっさに思った。直感だった。
 おれが、この人を、傷つけたんじゃない。
 秋に、深く積もった木の葉を退けて、つややかな石の上に墓碑銘を探すみたいに、この人の内側にはじめからあった、《何か》を掘り当てただけだ。
「何も知らない…… 何も。秋の日に、水車が回るときの音も。水車小屋の中に差し込む日が、金色の帯を描く様子も。同じ日差しが壁に木目を照らし出し、小さな虫が群れ遊ぶ姿を光らせるところも」
「……!」
 おれは、息を短く止めた。あの人は気付かなかった。声はこぼれ続ける。悔恨の祈りみたいに。
「嵐の夜も…… 風と雨から護られた、硝子窓の内側の安らぎも。旅立つ人を見送る哀しみも。打ち棄てられたまま、秋ごとに木の葉に埋もれていくはしばみの森も」
 町の外れ、小さな家。もう何世代もかけて開墾された明るい森。栗やはしばみの木、楢や椎、林檎の木。
 石を組まれた井戸に、すりへった滑車が掛けられていた。風が吹き、木々がゆれる。金色の日差しに照らされる垣根。そこに踊るちいさな羽虫の群れ。
 分厚く、頼もしい樫の扉の前で…… もう何年も、当たり前のように朝に潜り、夜にかんぬきをかけた戸に佇んで、行く人を見送った。あたたかな秋の日差し。日に照らされた落ち葉の匂い。木々の匂い。近づいてくる、冬の匂い。
 風に吹かれて、戸口に立つ人のひたいに、髪が揺れた。くちびるが微かに祈りをつぶやいた。無事で。どうか無事で。

 帰ってこなくてもいい。ただ無事で。生き続けてください。
 あなたと共に、常に、幸福がありますように。
 光がありますように……

「《Warrior of Light》…… ライト」
 おれは、耐え切れなくて、手を伸ばしていた。膝の上で硬く握り締められていたあの人の手に手を重ね、ぎゅっと握り締めた。鋼の篭手のせいだとはいえ、驚くほどに冷たい手だった。
 切れ長な目がまたたき、驚いたようにおれを見る。おれは奥歯をかみ締め、むりやりに笑顔を作った。わらわないといけない。今は、《おれ》が、笑顔でいなければいけないときだ。
「ライト。あんたさ、ちゃんと、憶えてるじゃないか」
「おぼえ、て、?」
「そうだよ。全部、全部、憶えてるじゃないか。ちゃんと知ってる。おれの見てきたのと同じ秋をさ」
 このはしばみの実だって、と、おれはあの人の手の中に、むりやりにはしばみの実を押し込んだ。あの人がおれをみた。削った水晶の目。違う。途方にくれたような目。
 秋に、冷たい風に打たれ、落ち葉の上で死を待つ、迷い鳥の目だった。
「―――そうなのだろうか」
「うん、そうだよ」
 嘘だ。ただの気休めだ。自分にだって分かってるような言葉で、この人を慰められるもんか。
 でも分かっていて、おれは、それしか言えなかった。だって、他になんて言えばよかったんだろう?
「あんたの故郷っていいとこなんだな。はしばみをひろえる森がある、秋のきれいな場所だ。すてきな家だってある」
 おれも行ってみたいよ、とおれは言う。あの人の手を一本ずつ折り曲げて、はしばみの実を握らせる。
「いいとこだよな。おれも行ってみたいくらいだよ。……そうだろ、ライト?」
 あの人はしばらく黙っていた。やがて、おれが両手を重ねた下で、その手に自分の意思で力がこめられる。ためらいがちなままで、ちいさな木の実を、握り締める。
「そうなのだろうな」
 ぽつり、声が、こぼれた。
「きっと、君の言うとおり、なのだろうな……」




 おれは、この世界に来たことを、後悔していない。
 今の仲間に出会えたことを。新しい世界を知ったことを。そして戦いのなかで知る喜び哀しみぜんぶ、《無かったほうがよかった》なんて思ったことはない。後悔したことはない。
 でも、あの時だけは痛烈に思った。
 あの美しい女神は、なんて、残酷なことをしたんだろうと。




 ―――おれがあの人を見送ってしばらくたつと、ジタンとスコールが、おれのことを探しに来た。
「バッツ!」
「……おぉ?」
 ぴたんぴたんぴたん、と跳ねるように軽快な足音がして、おれが振り返ったとたん、ジタンがとびついてきた。押し倒されるかと思っておもわずのけぞったかと思うと、すぐ隣に正確に着地する。絶対に狙ってたんだろう。軽業まがいの技におれが目を白黒させているうちに、もう少し重たい足取りをひきずって、スコールもおれの傍まで歩いてくる。
「なんだよ、浮かない顔だな。そんなに怒られた?」
 からかうような口調で、でも、心配そうな目が、おれの目を覗きこむ。ジタンの目はおもわず舐めてみたくなるような、甘い甘い青緑色をしている。飴玉みたいだ。おれは思わず笑ってしまった。「ぜんぜん違うよ」と思わず肩を小突く。
「別に怒られてないって。なんで、おれがあの人といると、説教って話にしかならないんだよ?」
「だって、いつものことだろ。……違ったのか?」
「うん、まぁね」
 ジタンが、金色の眉を寄せる。何かを言いかけて、やめる。助けを求めるように隣に立っていたスコールを見た。スコールもおれを困惑の目で見て、しばらくためらって、それから、言った。
「何が、あった?」
「ん……」
 おれは肩をすくめた。何も言う気はなかったし、言ってはいけないとわかってもいた。目線を向こうへと向ける。あの人が歩いていったほうへと。
「ライトの、昔の話」
 二人は顔を見合わせた。おれは笑おうと思って、でもうまくいかなくて、目を閉じた。まぶたのうらに思い出した。
 彼の、《Warrior of Light》の、歩き去っていく後姿を思い出す。まるで迷子みたいな姿。思い出を葬りに行く後姿。ほんとは一度も自分が体験したことのない思い出の、彼のものではない名前で呼ばれ、違う顔、違う声、違う髪をして、それでも確かに幸福というものに充たされていた思い出を、埋葬しに行く姿。
 あれは、彼の記憶じゃなかった。彼を慰めるためだけに、女神が与えた《あめだま》だった。
 でもそれって。
 なんて残酷なことなんだろう。
「記憶が、戻ったのか、あの人?」
 ジタンが、注意深く問いかけてくる。おれは目をあげて、ちょっとだけ笑った。
「……ん」
 


 たぶんあれは、もうずっと前のこと。おれが死ぬ前のこと。おれが、何回目かに、この輪廻に身を投じる前のこと。
 ガーランドが、死んだときのことだった。








《それはとても遠い記憶  百年 二百年前の
 それから多分永い時が  流れ 流れて…
 今夜私の隣で眠るあなたに
 久しぶりだね 会えたね やっと会えたね
 歌う夜の子守唄(ララバイ)》

《BGM:再会》(谷山浩子)
【YouTube:http://www.youtube.com/watch?v=kXRw10fxxuI】

以下、蛇足な解説です。(反転)

内容はほぼ谷山浩子さんの同曲のままなのですが、これはいちおうガーWoLの話かな…?
ライトさんが作中で”思い出した”記憶は、彼のものではありません。おそらく遥か過去のコスモス=セーラ姫=??? のものだと思われます。
愛していたのに、帰らぬ戦地へと旅立つのを見送った相手は、ガーランド。
記憶の話を聞いていて、その内容がライトさん本人には当てはまらない(年齢・性別・容姿など)ということに気付いたバッツは、途中でそのことに気付いたようです。
コスモスがそんなことをした意図はいろいろと複雑ですが、強いて言うなら、親に棄てられた子どもに大人が話す、「あなたのお父さんはね…」的な子ども相手の作り話、やさしい嘘だと思われます。
はしばみの実はガーさんがもっていたもの。
この後おそらく、ガーさんの剣と共に、ライトさんによって埋葬されたものだと思われます。