/トワイライトエッジ・ミニコラム

”トワイライト・エッジ”は、米ホワイトウルフ社から発行されているTRPGシリーズ、”ワールド・オブ・ダークネス”(略称・WoD)から設定を借りたパラレル小説です。
とはいえ、私自身もWoDのルールブックを所持していないため、世界観などの解釈にはオリジナル要素も多々含みます。こちらではもうちょっとつっこんで、【よりWoD的な設定】について書いてみたいと思います。
…全体的にただのコラムですから、読み物の一部として楽しんでもらえると嬉しいです!

ちなみに、資料としては以下のサイトを利用させていただいております。ありがとうございます。
【月夜の森】:http://www12.ocn.ne.jp/~piroki/WoD/index.html
【WoDコラムページ】:http://walkeri.fc2web.com/Buffalo/WtA/ww.htm
【清夜のささやき】:http://www2s.biglobe.ne.jp/~iwasiman/foundation/wod/index_t.htm
【骰子回転劇場・転】:http://www.rollingtheatre.com/index.html





 【猫科の人獣の扱いについて】
WoDの公式設定にも猫科の獣の変身種族(シェイプシフター)のルールはあるようなのですが、残念ながら日本語訳された資料を見つけることができませんでした… なので589の猫パーティのデータや能力は、基本、ガルゥ【人狼】のものを流用しています。ちなみにこんな感じ。
 バッツ:山猫(ピューマ)の人獣→サイレント・ストライダー
 スコール:ライオンの人獣→シルバー・ファング
 ジタン:豹の人獣→ウクテナ
データ的にもガルゥとは若干ズレがあるものと思われます。具体的にはクリノス形態でもデリリウム(*1)を起こさない・銀を苦手としない(*2)、など。
いちおう理由として、デリリウムの扱いはSSなどだと表現しにくいのが一つと、あと、「正体がバレないように、できるだけ人目をさけて戦闘を行わないといけない」という設定が好きだからというのがありますw 最近のTRPGシステムだと一般人を戦闘に巻き込むようなシチュはそもそも発生しないものが多いのですが、古い人間としてはそのあたりに頭をひねるのが楽しいのですよ。
あと【銀を弱点としない】というのはひとえにスコールが可哀想だから(…)。ただし、特有の弱点として、月齢に対する強いシンクロがあるものと思われます。生まれついたときの月齢(宿月といいます)に近づくと活発になり興奮しやすくなる、つまり躁状態になるのとは逆に、それとは逆の月齢になるとなんとなく憂鬱になって注意力が散漫になったりする。…たぶん、品のない物言いをするフィアナ氏族なんかは、女性の月のものにたとえて冗談の種にしているものと思われます。
(*1 【デリリウム】というのはガルゥのもっている特徴の一つ。ガルゥがもっとも強力・かつ超自然的な姿である「クリノス形態」という姿を取ると、目撃した人間は強い恐慌状態に陥ります。なのでガルゥにとって、一般の人間というのはそもそも敵にならない相手だったりします。ただこれのせいで人間との間に深い溝が生じていたりして以下は解説サイトへどうぞ)
(*2 ガルゥにとって銀は大敵です。銀で作られた武器はガルゥに致命的な打撃を与えますし、銀製の製品を身に着けていると怪我が治りにくくなったり行動に制限を受けたりします。…この設定をそのまま採用するとスコールはどれだけかわいそうなことになるかって話ですね)





 【”バッツ語”について】
本編で「ニャンコ頭」とジタンにののしられているバッツの変な喋り方ですが、いちおう、イメージとしてバッツが育った環境が原因としてあったりします。
ようするに獣腹として生まれて、人獣として覚醒して、それから20歳になるまでの間面倒を見てくれたり家族のように過ごしてくれた人々の喋り方がうつっちゃってると。要するにFF5メンバーが普段使っているような喋り言葉がをそのまま使っているせいなのですが、何の説明もなしにヴァンパイアの使う言葉やガルゥの使う言葉が混じるので喋り方はそうとう変です。という設定です。
サイレント・ストライダー族は人間のジプシー(ロマとも言う)と混じって生活していることが多いのが特徴ですが、実は、ヴァンパイアの中の変わり者である”ラヴノス氏族”のヴァンパイアもまた、同じようにジプシーに混じって行動し、時にはガルゥと協力関係を築いていることすらあるといいます。
なので、
ロマ訛り+サイレント・ストライダー族の言い回し+ラヴノス氏族のスラング+ニャンコ語=バッツ語
…という形成過程を経ているわけですね。これはひどい。
ちなみにタイクーン姉妹はサイレント・ストライダー族のガルゥ、ガラフとクルルの二人はラヴノス氏族のヴァンパイアです。ガルゥとヴァンパイアは元々は敵対関係にあるのですが、この氏族同士だと協力し合っていたりすることも実際にある。ただし、そういうバッツにとっての常識が世間に通用するかどうかはぜんぜん別の問題です。





 【没になったネタその1:]親子のややこしい血統問題】
ティーダとジェクトの]親子は【キンフォーク】と呼ばれるガルゥの血を引いた人間です。(人猫ではない) そのため本来はティーダは自分の属する氏族について色々教えられ、後々にはガルゥの子孫を残すために同じキンフォークと結婚することを推奨されることになります。が、ティーダはキンフォークでありながら”闇の眷属”について何の知識もありませんし、そもそも自分がそういう存在であるということを聞いたこともありませんでした。
このあたりはWoD的にいろいろと悶着があるのが原因なんですが、どうもWoDを知らない人にはぜんぜん意味がわからないネタなので没にしてしまいました。でももったいないのでここでお披露目してみるよ(´・ω・`)
ガルゥという種族は種族的に自分たちだけでは子孫を残せないようにできています。「同属同士で番うべからず」というのはガルゥの間でも重要な決まりですが(でもその割りにぽんぽん破られる。ケダモノだから)、というからには子どもを残すためには人間ないしは狼との間で生殖を行わないといけないということになります。
ところがここで問題になってくるのは、ガルゥはそもそも出生率が低いということです。ガルゥの血をまったく引かない相手との間に子孫を作ろうと思った場合、生まれてくる子どものうち何割かは相手の種族になってしまい、一生ガルゥとしての能力を獲得することができません。
ただし、そんな【いとこたち】はガルゥの特徴であるデリリウムを起こさない、また、ガルゥの血を引いているためガルゥの子孫を残す確立が高い、といった特徴をもっていたりします。そこで彼らは【キンフォーク】と呼ばれ、ガルゥたちに手厚く遇されることとなるわけです。
それで]親子はどっちもコレ。ジェクトさんは片親がガルゥのキンフォークで、ティーダはキンフォーク同士の婚姻で生まれたその息子です。血統的にいうと完全にガルゥの血筋です… が、ジェクトさんがキンフォークの分際で息子を連れて逐電したため、ティーダにも、ガルゥ社会のことをまったく話していませんでした。
ジェクトさんは、シャドウ・ロード氏族のキンフォーク。ティーダの母親はシルバー・ファング氏族のキンフォーク。シルバー・ファング氏族は「ガルゥとしての純血」に非常に強く拘るため、多くのキンフォークたちに近親相姦を繰り返させています。(なのでシルバー・ファングの仕事は妹とファ×クすることなんていうひどいジョークもある) ですが、ジェクトさんの出身氏族であるシャドウ・ロード氏族は勝利のためならどんな陰謀も辞さないというダーティな陰謀家の氏族。細かいことは割愛しても何もなかったとは思えない婚姻関係です。
その結果、ティーダが生まれる前後のあれやこれやでガルゥ社会に愛想をつかしたジェクトさんが、息子を連れて家出をしたんだと思われます。でも、自分の親類たちとの付き合いを完全に絶ったわけではなく、何かと親子のことを気にかけてくれるガルゥの友人も複数いる…ということになります。
ジェクトさんはPB(ピュアブラッド)4のキンフォーク、ティーダはPB4(4・5)のキンフォークかな…(細かくはコチラを参考にどうぞ)
ちなみにガルゥは大地とのつながりを重視する自然派なイキモノですが、中には機械や経済などの都市文化に強い興味とこだわりを持ち、他のガルゥたちから変人扱いされている氏族もいます。その名もグラス・ウォーカー氏族。
なんか背中につけたブースターで空を飛んだりするイメージが強い氏族ですが、他にもバイクの精霊や原子力の精霊、さらには証券取引の精霊なんかとお話ができちゃったりもするとか。なんか調べてみたらグラス・ウォーカーのなかには謎の技術でロケットを開発して宇宙の彼方にぶっとんでってそのまま帰ってこない…とかいうラブリーな連中もいるらしいです。]のリュックとかはあきらかにこのカテゴリーだと思われますw





 【ヴァンパイアの亜種・グールと《お人形》とイネイブラー】
WoDにおけるヴァンパイアというのは、ほぼ、世間的にイメージされるヴァンパイアと同じ種類の生き物です。
かつて神に呪いを受けて不死になった人類初の殺人者カインの子どもたちであり、多くのヴァンパイアは自分たちのことを【カインびと】と呼びます。日光や銀や十字架や、心臓に打ち込まれる白木の杭が弱点であり、定期的に人間の血を吸わないと生きていけません。渇きはヴァンパイアに狂乱をもたらします。
とはいえ、血が濃くて経験が豊富なヴァンパイアにとって、このあたりの弱点は決定的になるようなものじゃないんですけれどもね。そもそも普通の人間は、多くのヴァンパイアにとっては「お弁当」「缶ジュース」のような存在でしかないようです。
ヴァンパイアが自分の血族を増やすための方法も伝承どおりで、まず血を完全に吸った後、自らの血をあたえる【抱擁】という儀式を必要とします。生きたまま血を与えられた人間は、ヴァンパイアではなく【グール】という名前の不老の存在になります。とはいえ彼らは血の渇きやヴァンパイアの弱点を持たない代わりに、主人の命令には絶対服従するという本能を持ち、かつ、加齢によって死なないという以外は通常の人間と大してかわらない程度の力しかもたないようです。
単にヴァンパイアから吸血されるという状態に従属して意思を失った人間…魔法で縛るなり、過酷な状況に精神崩壊するなり、吸血されることのもたらす快楽に堕ちるなり、いろいろあるみたいですが…はヴァンパイアにとっての餌であり玩具、「お人形(BloodDoll)」と呼ばれる存在になります。中には麻薬などをちょっと代わった方法でたしなむために、「お人形」をヤク漬けにした上でその血を楽しむなんていう鬼畜な行いをするヴァンパイアも。
では、「グール」ではなく、かといって「お人形」にまで堕ちていない存在、その血をめでるだけでなく魂の恋人であり、なおかつ、ヴァンパイアになることを拒む存在はいったい何者となるのか?
…このパロでは、グールやヴァンパイアの血は、ヴァンパイアの「渇き」を充たす力を持たない、という設定になっています。ですので、ヴァンパイアはもしも愛する人を同属に加えてしまったら、その血を味わい、その命で渇きを充たすことが出来なくなります。
では、こんなことはごく稀だと思われますが、同属でもなく、グールでもなく、かといって「お人形」でもない存在が、ヴァンパイアにとってかけがえのないものになったら、彼らはなんと呼ばれるのか?

このパロだと、そういった人々のことを、「イネイブラー(慰撫するもの)」と呼びたいと思います。
WoDの公式設定ではないのでご注意ください。