カケラ
どこか都会の片隅で
ビルの隙間にうずくまる
茶色く干からびた欠片を見つけたら
それが私
砕けてこぼれた私です
助けを求めることを知らず
誰かを愛することも知らず
黙って枯れて干からびて
砕けちった私です
ああ、なんという怠惰
なんという無知蒙昧
夕方の空だとか
都会の夜だとか
冬の海だとか
溶けた硝子の光とか
そんなものだけを食べて
人間が生きていかれるはずもないのに
次第に萎び干からびて
とうとう砕けて散りました
ごめんなさい、私を知っている人たち
ごめんなさい、私を好きだった人たち
願わくば、最後の望み
くだけた私を見つけたら
乾いた欠片をかきあつめ
道端のたんぽぽを葬るように
集めて、どうか、塵箱へ
――−ごきげんよう、ごきげんよう皆様!
願わくば、再びお目に掛かるときは、
貴方がたの目の端にも止まらぬ、
ささやかな私でありますように!
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