夜汽車



お月様は昼間のようで
流れる空の雲が、早い
窓の向こうを灯りが遠のく
帰らぬどこかへ、
スピードを上げて


僕らはきっと、かえれない。


ばらばら崩れるパズルのピース
落ちて砕ける硝子の林檎
写真に煙草の火を
火を


昨日が、明日が
燃える、燃える


君が窓の向こうを見ている
飛び去る景色に瞳を閉じる
目蓋の裏には何もなくて
君はもういちど目を開ける


握った指は、すこし、つめたい



僕らはきっと、かえれない。
二度とはきっと、かえれない。



幸せな国に、かえれない。







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