森へおいで (ライブVer)

風の言葉がきこえない きみは恋をしたんだね
毎朝来ると約束の場所に 今朝は来なかった
森の暗がりでぼくと 不思議な遊びをしよう
いつものように笑って 森へおいでぼくの

ガラスでできたカナリアは きみのために歌わない
背のびした金の靴は きみの足を傷つける
それでもきみは街へ行く 金の靴で彼と
ぼくの作る風の靴は もっとステキなのに

ぬれた土のにおいがする 草で編んだスカート
枝をつたう露のゆびわ 木の葉の鈴のイヤリング
森でみつけた宝物 みんなきみにあげる
いつものように笑って 森へおいでぼくの

今夜きみをつれていくよ
真夜中にむかえに行く
ぼくの好きな真珠色の 肌が光る月明かり

ひみつの迷路の奥に きみはまよいこむ
命をつないだ糸が しずかにほどけていく

森の暗がりでぼくと 不思議な遊びをしよう
いつものように笑って 森へおいでぼくの



王国

歪んだ王国に ぼくたちは住んでる 歪んだ鏡を守っている
歪んだ王国の歪んだ鏡に ぼくときみだけが まっすぐにうつる

広間にさしこむ 日射しの角度は 凍りついたように幾千年 動かない
ほかに誰もいない ふたりだけの国で
ヒスイの玉座に きみをそっと すわらせて
やさしく きみの目に 目かくししてあげよう 白い首筋に キスをあげよう

歪んだ王国に ぼくたちは住んでる ほかに住めるところが ふたりはない
ここだけ ガラスの美しい花が咲き 泉は歌い 風はまどろむ

広間の地下には 巨大な迷路 ひとすじの光も 射さない闇の底
死者のざわめきと 身もだえ泣く声 錆びついた仮面と 研かれた時計たち
だけど きみは何も 知らないままでいい ふるえて お休み ぼくの腕の中で

翼ある鳥は 翼をもぎとれ 世界へと続く 通路をとざせ すべて
そして ぼくたちは 王宮の床に 輝く偽りの歌を 刻みつけた

『きみを永遠に ぼくは愛しつづける きみだけを ぼくは愛しつづける』



草の仮面

風吹く闇の草原 蛍火にみちびかれて 今夜も誰かたずねてきた
お客はすこしうつむき 深いため息をついた
わたしは顔が重すぎて もう歩けない もう歩けない

お客は顔をゆがめた これがわたしの微笑み
昔はとてもきれいだった
もうかえらない もうかえらない

ああ 雨に流し
ああ 風が撫でる
一夜のまぼろしをあげましょう
素顔のまぼろしをあなたに

彼はわたしのまぶたを ゆびさきで撫でて言った
”うらやましいね、きれいな目だ”
わたしが素顔に見える ここは夢の中だから
ここでしか生きてゆけないの
ここであなたを いつも待っている

ああ 幼い日の
ああ 草で編んだ
一夜のまぼろしをあげましょう
素顔のまぼろしをあなたに

一夜のまぼろしをあげましょう
素顔のまぼろしをあなたに



SAKANA-GIRL

*なぜきみは僕を見ない なぜきみは何も言わない
なぜきみは悲しまない なぜきみは驚かない
なぜきみは僕を見ない なぜきみは何も言わない
なぜきみは目を閉じない なぜきみは逃げ出さない*

SAKANA-GIRL ひらかれて塩にまみれ SAKANA-GIRL 透きとおるラップの中
僕はきみをこれから 柔らかな火の上に置き 僕はきみをこれから 焼いて食べる
SAKANA-GIRL 変わり果てたきみの姿
お店のかたすみに 積み上げられ 人に買われる時を待つだけの哀しい女
そして食べられ消える それだけの きみが僕のことを忘れた罰だよ
きみが僕のことを忘れた罰だよ これは

何度も生まれ変わり サカナになり 冷たい暗い海の中で生きる
きみは言葉を持たず 感情も痛覚もない 僕に食べられるほか 救いはない
SAKANA-GIRL なんて白いきみの素肌 ゆっくり焦げ目をつけ 焼いてあげよう
ぼくはナミダを流す 焼けていくきみを見ている ぼくはナミダを流す きみのために

きみが僕のことを忘れた罰だよ きみが僕のことを忘れた罰だよ
ほんの数億年 それとも数日離れていただけで



子守歌

どこで泣いてるの かすかな声がする 人も家並も 寝静まる夜
どこで泣いてるの きこえてくるかすかに とても悲しいと わたしを呼んだ
そんなにささやかな おまえの願いを 打ち砕く無慈悲な手 よこしまな闇の力

*今夜も祈っている すべての夜に向けて 今夜も祈っている すべての命に向けて
もう誰も もう二度と 泣かずにすむように 今夜せめておまえが やすらかに眠れるよう*

どこで泣いてるの かすかな声がする ひとり凍えてる 暗闇の中
どんなに離れていても 思いはとどく 見えない電波のように 夜空を走っていく
だからもう泣かないで わたしはここにいる どんな淋しい時も おまえを守っているよ



風のたてがみ

明け方の月が 僕の夢を揺らしている 耳もとで誰かが僕に何か告げる 不思議な声
長い眠りから目を醒ませと 夢の時は終わりだと ささやきかける声にせかされ 目を開いた
僕の目に映るものは 見知らぬ広い世界 どこまでも続く空と 乾いた寒い大地

夢の王国はどこに消えた 光満ちる孔雀の庭 金と銀の天使たちの 楽の調べ
崩れ落ちていく城壁や 財宝抱いた難破船 かがり火の中 踊る娘の白い足も
今はない どこにもない 呼んでも答はない ただひとり 僕ひとり 無人の荒野に立つ

風が叫んでる これでやっと やっときみは自由だと 風は激しく空を叩いて 笑っている
僕も風になり 風とともに旅に出よう あてもなく 朝日を受けてきらめく僕の 銀のたてがみ

僕を呼ぶきみの声が 確かにきこえている この胸に星のように まだ見ぬきみが光る
僕を呼ぶきみの声が 確かにきこえている ただひとり 僕ひとり 無人の荒野に立つ



back