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いったいどこで間違えたんだ? 何がいけなかったんだ?
あの世界のリアリティの精度に斑があるということ、それは、仕方のないことだ。あの世界の成り立ちを考えると許容せざるを得ないエラー。けれど、今まではそれが致命的な結果をもたらすことなんて無かった。『彼女』だってそれを容認していたはずだ。
リアリティの精度に疑いを抱くということは、つまり、『別のレベルのリアリティ』を『真正のもの』と認識するということ。
ようするに、『現実』を何らかの形で思い出したということ?
その原因となりうるものはたった一つしかない。あの忌々しいレンズ。マインド・ミラーという名の、ちっぽけなスノウ・ドーム。
あれさえなければ、この世界には寸暇もない。崩壊の糸口すら無かったはずなのに。
でも、もう、手遅れだ。
『彼女』はもう、気づき始めてしまっている。
……うん。
それでも、おれは最後まで努力し続ける。『彼女』の幸せのために。それがおれの存在理由。それに、お前の存在理由でもあるはずだ。
―――だから、お前は、決して『彼女』を逃がすんじゃない。
絶対にこれ以上『気づかせて』はいけない。
分かったな?
分かった。
ぼくも、精一杯、がんばるから……
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